Aquamarine Shock!

安全地帯:恋の予感

更新日:2010/01/17

陽水の魅力以上に

安全地帯が『ワインレッドの心』で軌道に乗り始めた1984年の代表的なナンバーで、これもライヴで何度となく使われている歌です。オリコンも3位までいっています。

まず、私は普段はほとんど詞には注目していないんですけど、これは本当に詞が「ステキ」。陽水が書いたと言われて、納得できるようなできないような感じで、たおやかなもの悲しさを綴っているようでいて、良く読むと一つの文章としてはまとまりがないのです。何せ、一番大事なキーワードが恋の予感がただかけぬけるだけ。要するに、恋にはかすってすらいないんですね。他にもイロイロと、良く読むと不思議。「あなた」が何をしたい人なのか、何をしている人なのか、歌い手にとってどういう人なのか、イマイチ分からない。「あなた」が誰かに想いを告げたいのにそれができないでいる…と、素直に読むとそんな感じなんですけど、本当にそうなのか。これは歌になっていると全然気にならないんですけどね。陽水にしても、松井五郎にしても、安全地帯の歌はいつもそう。

それ以上にキレイなのは曲。抑え気味に優しく語りかけるAメロがだんだん盛り上がり、サビは高音を活かして美しく流れていって、最後はかけーのところで最高音をバシバシっと決めて、ぬけるーだけーでスッと落ちて1フレーズ終了。ライブだとイ短調ですが、オリジナルは変ロ短調で、そっちの方が断然良いです。最高音がラになるので、それなりに歌いにくかったりもしますが、ここが一番のポイント。一番最後で2番のサビのリフレインがありますが、そこでかけぬけるだけを堪能してください。でも、Aメロも地味ながらいぶし銀で、最初の「レ♭ドーーシ♭ラ♭ーーファラ♭ラー」のところから技ありです。ピアノで弾くと美しさが分かると思います。

他には

ライヴでは、前述の通りイ短調に落とされているので、曲全体の調子が変わっている、敢えて言えば「音楽的に単純になっている」と思います。最高音もソに落ちている分だけ、聴き応えは落ちます。基本的には原曲をなぞっていて、一部のマイナーチェンジはあるものの、ハッキリとは気付きません。

これだけ好きだった歌ですから、例に漏れず玉置浩二名義でも出ています。やはり1999年の『ワインレッドの心』。当時のメンバーが4人参加していることもあってか、伴奏は、落ち着いたサウンドになっているとは言え、ラインがほぼ全く一緒です。こちらはというと、全体の落ち着いた流れを無視してかけぬけるだけだけが音的に突出してしまって、少しバランスが悪くなっています。これはむしろVocalの玉置氏の声質の問題でしょう。でも、ト短調になっているので私は無条件に好きです。

陽水も歌っていますが、編曲が聞き慣れないので違和感があります。

情報

『恋の予感』:作詞:井上陽水,作曲:玉置浩二。

収録アルバム:『安全地帯』(1984)など。

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