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安全地帯:ワインレッドの心

更新日:2010/01/17

言わずとしれた

1981年、井上陽水のバックバンドとして活動を始めたことが縁で陽水に詞をもらった歌で、1983年発表です。安全地帯のデビュー曲…ではありません。1982年に既にシングル"萠黄色のスナップ/一度だけ"を出しています。玉置氏は『出会いの曲』と言っていますが、要するにこの歌のヒットのために安全地帯の存在が世の中に広く知れ渡った、ということなのでしょう。

今でも、安全地帯・玉置浩二という枠を超えて、1980年代を代表する歌の一つとして挙げられ、また陽水を始め数々のアーティストにもカヴァーされてきている、誰もが認める安全地帯の最大の代表曲です。

もちろん、安全地帯/玉置浩二も何度も何度も形を変えて歌っています。

しかし、どこが

このページは「この曲のここを聴け」という主旨ですので、ポイントを絞って説明したいところなのですが…この歌のどこにフォーカスを当てれば良いのか、実は私は未だによく判らないのです。

この歌の一番の偉大なところは、その当時における「目新しさ」と、25年経っても歌い継がれる「普遍性」を兼ね備えているところにあるんだと思いますが、それは曲全体を通して見えること。音楽的にどこが優れているかを、私の語彙と音楽観では表現することができずにいます。

それでも何とか、音楽的に私がポイントだと思うところは、サビのメロディーラインの[Bm/D→C#→F#m→Bm→C#m→F#]の流れ、そしてその最後のところのかなうののところで、シンコペーション+メジャーコードとしてキメている部分でしょうか(こういうのもピカルディーの度というのかな? ちょっと違うか)。専門用語を使ってしか解説できませんが。

他の版

さて、代表曲であるからして、ライヴなどでは当然何度も歌われていますし、また玉置ソロとしても定番となっています。

とは言え、特に初期の安全地帯では、暗黙の了解なのか何なのか、割とライブでも原曲通りに演奏することが多かった…という歴史もあってか、1980年代のライヴでは(原曲が嬰ヘ短調なのに対して)ヘ短調に落とされていて、(原曲が最後にフェードアウトしているのに対して)ちゃんと終止に向かうコーダが付いている他には、少なくとも私が持っているCDではメジャーチェンジがありません。その辺がまた、代表曲ならではなのかもしれませんが。

一方で、玉置ソロの「ワインレッドの心」はというと、武沢氏以外の安全地帯のメンバーが参加した1999年のアルバム『ワインレッドの心』に収録されているヴァージョンはかなり雰囲気を変えています。テンポもサウンドも落ち着いていて、ムードで言うなら、ワインレッドというよりは薄暗い深夜の夜景のラウンジといった感じで、陰鬱な感じさえ有ります。2007年のライヴでも基本的にこのサウンドを踏襲しています。

さて、この曲のもう一人の作者である井上陽水も、やはりこれを歌っています。こちらも安全地帯オリジナルとは全く異なる解釈で、メロディーと伴奏の基本ライン以外は別物と言って良いでしょう。どちらかと言うと、落ち着いていながらも軽い感じになっています。

さて、どのワインレッドがホンモノでしょうか。私個人としては、歌詞からして勝手に恋したりkissを楽しんだり何度も抱き合ったり今夜をゆれ合ったりするくらいですから、情熱的な安全地帯オリジナルヴァージョンのが良いと思うのですが、いかに。

情報

『ワインレッドの心』:作詞:井上陽水,作曲:玉置浩二。

収録アルバム:『安全地帯』(1984)など。

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