Aquamarine Shock!

安全地帯:碧い瞳のエリス

更新日:2010/01/17

はじめに

のっけから恐縮ですが、私にとってこの歌は論評・批評の対象ではありません。なぜなら、この歌は私の人生でもっとも重要な2曲のうちの1つだから。

ということで、私にとってこの歌はもはや「好き」とか「おすすめ」だとか「最高の評価」だとかそんな次元を超えてしまっているワケです。曲が始まる前の無音から、曲が終わった後の無音まで、その全ての時間が私の語彙や表現力では言い表せないほどの領域にある…と、差し当たってはそこまで言ってしまいましょう。

じゃあなんで?

なんでこの歌がそんなに好きになったなのか…正直に言って、既にそんなことはどうでも良いので分かりません。この曲に出会ったのは22歳の頃だったと思いますが、この曲を好きになり始めて、そのうち大好きになって、いつの間にか単曲リピートでこればかり聴いたりすることが多くなりました。

そのうちに有ることに気付いたのです。この歌を繰り返し繰り返し、それこそ何十回何百回繰り返し流して、さらに音を絞りに絞って出かけている間ですら流しっぱなしにして、ここぞという大事な場面に臨むと、絶対に失敗しないのです。難しい試験も奇跡的に一発で合格するようになりました。このジンクスを使って初めて失敗した…と思った試験でも、なんとかケチが付かずに滑り込みました。そして人生を決めるほどの大きな試験にも合格しました。

それがこの歌のおかげなのか偶然なのか、それとも私の実力なのかは分からないですけど、私がここまで根拠もなく(実績のみで)信じるのはこの歌だけです。

それでも敢えて

そんなわけでこの歌の聴き所は、私としては当然「曲が始まる前の無音から、曲が終わった後の無音まで」ということになりますが、敢えて一つ挙げるとすれば、それはサビにあります。どんなに悲しいこともの『しいことも』のところでバックコーラスで3度上のハモりが入り、そこが一般の方々にもお勧めできる最高の陶酔ポイントです。このポイントは全部で8回あります。

また、松井五郎の一見単純で、実は難解な歌詞にも注目です。あなたの瞳のエリスって、何千回聞いてもちっとも理解できないのですが、それもまたこの歌の深さを増す要因なのかもしれません。

その他

今となっては、"ワインレッドの心""あの頃へ"ほど有名ではないですが、玉置浩二がCMに初出演したときの歌であり(それがまた、大王製紙の「エリス」というから…)、また1985年のシングル登場当時オリコン最高2位を記録したくらいの歌ですので、ちょっとひいき目かもしれませんが、それなりに代表曲と言って良いのではないでしょうか。実際、アレンジもいくつか存在しますし、ベスト盤でもしばしば登場します。

井上陽水とのコラボliveで有名な1985年の"One Night Theater"は、この歌が初めて世の中に発表された機会だと思いますが、そのせいか少し荒削りな感じです。ポイントとなるべき3度上のハモりも、今ひとつノってません。

1986年のlive、"安全地帯 LIVE 〜月に濡れたふたり〜"では、ひと味違ったエリスが聞けます。ピアノ系の音が入り、しっとりというより、おっとりした感じ。そして伴奏で何かがポンコポンコ言っています。意外とサビで裏を張っているguitarが良い味を出しています。全体を通して、何回かタイミングを外したところで「ばちっ」という音が入るのですが…雑音だとしたら残念。そしてこちらは、大事な3度上のハモりが無いのでさらに残念。

玉置浩二名義の"ワインレッドの心"では、track 10/13という中途半端な位置に出てきます。変ホ短調にまで落とされ、テンポもグッと遅くなって、伴奏も弱くなり、今まででもっとも陰鬱なエリスです。ですが、このversionもまた、3度上のハモりが素晴らしい! …いや、実は3度上だけじゃないのですが。

そして、1993年、安全地帯が活動休止する際の最後のライブ、"unplugged live!"でも登場します。こちらはメドレーという形を取っていますが、実際には玉置氏が一人でイロイロつなげて歌っている中で出てきた、というのが正しいのかもしれません。それでもこの歌はliveの終盤、「Lonely Far〜黄昏はまだ遠く〜朝の陽ざしに君がいて〜夢のつづき〜消えない夜〜碧い瞳のエリス〜かあさんの歌」というラインナップで出てきて、closing numberの『あの頃へ』につながるので、ひいき目かもしれませんが、そんなにぞんざいな位置でもないと思います。しかも、しっかり1コーラス、なくした夢はからみつめかえしてまで歌っています。ひいき目かもしれませんが、それなりに大事にしていた歌だったのではないでしょうか。

情報

『碧い瞳のエリス』:作詞:松井五郎,作曲:玉置浩二。

収録アルバム:『安全地帯』(1985)など。

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